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ヘイトスピーチと憲法21条について

 お早うございます。
 ちょっと前に書いたけど、今年は何か昔ながらの思想対立が復活した1年だったような気がしてます。その象徴ともいうべき「ぱよぱよちーん」ですが、なんか「敵」(特に新潟日報の「豚の餌」記者)が自滅したおかげで、事実上はすみ陣営が勝利して終わったわけですけど、果たしてそれで終わったのかと。民主党や社民党は、人種差別撤廃条約や欧州の動向を盾に、ヘイトスピーチ規制を執拗に持ちだすでしょう。そもそも、根本とも言えるヘイトスピーチと、表現の自由を保証する憲法21条との関係について、考えておく必要があるのではないでしょうか。つきつめていくと、結局ここが議論の全てなのですから。

 こんなのを見つけました。社民党のサイトです。
ヘイトスピーチは人種差別であり、法の保護に価しない/社民党リレーコラム・第166回(7月16日):照屋寛徳議員
http://www5.sdp.or.jp/special/kenpo/166teruya.htm
 例の京都で在特会と朝鮮学校が裁判で争って、在特会が完敗した事件についてです。なお、この照屋寛徳さんはベテランの弁護士で、バイブを突き刺して反戦演説は行わないようです。以下長々と引用しますが、ゴチック化は私です。
『在特会らのヘイトスピーチに対し、人種差別撤廃条約を根拠に損害賠償を求めることについて、大阪高裁判決は次のように判示する。(私の責任で概略引用する)

 「人種差別撤廃条約は、国家の国際責任を規定するとともに、憲法13条、14条1項と同様、公権力と個人との関係を規律するものである。私人相互の関係を規律するものではない。

 一般に私人の表現行為は憲法21条1項の表現の自由として保障されるものであるが、私人間において一定の集団に属する者の全体に対する人種差別的な発言が行われた場合には、上記発言が、憲法13条、14条1項や人種差別撤廃条約の趣旨に照らし、合理的理由を欠き、社会的に許容し得る範囲を超えて、他人の法的利益を侵害すると認められるときは、民法709条にいう『他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した』との要件を満たすと解すべきであり、これによって生じた損害を加害者に賠償させることを通じて、人種差別撤廃条約の趣旨を私人間においても実現すべきものである」―と。実に、論旨明瞭だ。

 かかる考えに基づき、大阪高裁判決は、原告(被控訴人)京都朝鮮学園について「民族教育を軸に据えた学校教育を実施する場として社会的評価が形成されている」と判断した。

 弁護団コメントにもあるように「朝鮮学校における民族教育事業が法的に保護すべき貴重なものであることをより明確にした」。

 また、大阪高裁判決は、在特会らが街宣行動で叫ぶ「ウジ虫」「ゴキブリ」「朝鮮半島へ帰れ」などの発言を、「これらは在日朝鮮人を嫌悪・蔑視するものであって、その内容は下品かつ低俗というほかない」と指弾し、手厳しい。

 在特会らが裁判の中で主張した、応酬的言論の法理による免責の求めに対しても、「免責される余地はない」と棄却した。』


130127-t10.png え? 憲法21条の問題ではないんだ。私人間。懐かしい(笑)。左翼差別じゃなくて、こんなところでも出てきたのか。でも、そう言われてみればそうだ。要するに、私人間の問題だと。要するにあれだ、京都の朝鮮学校事件の「ゴキブリ」「ウジ虫」発言は、職場のパワハラ・セクハラ発言と同じ扱いなんだ。
 でも、逆に言えば、在特会が京都で敗訴したからといって、ヘイト規制法を作っても合憲とはいえないわけだし、学校の前で叫ぶのと新大久保の商店街で叫ぶのとでは、違った判断が生じるかもしれないわけである。

 おそらく、規制反対派がもっとも警戒するのが、規制される「ヘイト」という言葉の曖昧模糊さであろう。同じ表現の自由に関しても、東京都のエロ漫画の際に実に詳細かつ明確に、表現の自由に抵触しないように最新の注意を払っていたけれど、多くの反対論者はそれに納得しなかった。それに比べれば、ヘイトはあまりに曖昧模糊で、「難民しよう」漫画程度で規制されるのではないかという畏れを、正直自分も持っている。
憎悪表現(ヘイト・スピーチ)の規制の合憲性をめぐる議論 小谷順子 / 憲法学
http://synodos.jp/society/4013
『現在、イギリス、フランス、ドイツ、カナダなどでは、この条文を履行すべく憎悪表現を規制する法律を設けている。一方、アメリカは、表現の自由の保障を最大限に保障しようとする判例法を背景に、第4条に留保を付して表現規制を回避するかたちで条約本体に加入しており、現在も憎悪表現を規制する立法は行っていない。アメリカ同様、日本も同条に留保を付して加入しており、憎悪表現を規制する立法を行っていない。』
mv_lupin.png あれ? フランスも加盟してるようですけど。だって、犯罪を犯した移民を「叩きだせ~ぃ」、難民は一切「受け入れるな~ぁ」「フランスからでーてけ~ぃ」、モスクに補助金を「打ち切れ~ぃ」、ISISとは戦争であって「叩き殺せ~ぃ」、死刑を復活して「殺せ! 殺せ! 犯罪者」で、現在フランス人気No.1で大統領候補の呼び声も高いのマリーヌ・ル・ペンさん(以下ルペンさん)は無事なんでしょうか。もっとも、ルペンさんがどういう表現で政策を喋ってるのか知りませんですが、政治的アジテーションである以上、結構激しいことを末端の人なんか口走ってるんじゃないでしょうか。
 考えてみれば、ドイツだって移民受け入れが問題になっているのですから、「難民は出て行け」くらいの発言は日常的に行われているはずです。でなきゃ、どう議論するんだって。
 おそらく、これらの発言は「ヘイト」ではないのでしょう。否、日本だって、「移民受け入れ絶対反対!」は自由に言って良い、どころか、エロ漫画などより高度に保証されるべき崇高な政治的意見であって、いかなる権力たりとも発言を遮ることができない崇高な市民的自由なはずです。
 しかし選挙になれば、やってる方も聞いてる方もヒートアップしてますから、どうしても言葉が過激になってくるわけです。その辺を、欧州の素晴らしい(?)ヘイト規制法はどう処理しているのでしょうか。日本の規制論者の人は、そこら辺を明確にしていただけないと、「ヨーロッパでは常識、日本は遅れている」みたいな飽きもせずの決まり文句を叫ばれても、私はとてもじゃないが賛成できません。
 「極右」と呼ばれる人たちが力をつけているのはフランスだけではない筈です。それらは、全て規制の対象になり、「移民を叩きさせ~ぃ!」「うスラム教徒は、国から出てけ~ぃ」「モスクを叩き壊せ~ぃ」と発言した人間は、次々と逮捕されて裁判所に呼ばれているのでしょうか。それとも日本みたいにマスゴミが「規制すべき」と騒いでいるだけなのでしょうか。「例えばこんな例が」ではなく、きちんとしたデータを出していただきたいものです。
 ちなみに、法規制が厳しいと日本でも評判のドイツでも、ヒトラーを肯定的に語る人はしばしば登場するようです。叩かれる。しかしまた別のタレントが言う。「ヒトラーさんはドイツを不況から救い、高速道路を作り...」 根絶は出来ないようです。

 仮に規制をするにしろ、せめて東京都のエロ漫画規制(そもそも、未成年が読みにくくなるだけ)くらいの気遣いはしてほしいものです。そうでないと、ヘイトの名の下、共産党や社民党にとって不都合な意見は全部ヘイトになる公算が極めて強いと思っている人が日本には多いのが現状です。そこは明確にしていただきたい。
 上記「憎悪表現(ヘイト・スピーチ)の規制の合憲性をめぐる議論 小谷順子 / 憲法学」では、こう書かれている。
『たとえば、歴史を振り返ると、政府や皇室を批判する表現や模範的な道徳観に反する表現などは、しばしば規制の対象とされてきた。そして、従来、個人の自由を重んじる憲法学者や弁護士たちは、このように政府が一定の内容の表現を「悪い表現」であると認定した上で規制すること(=表現内容にもとづく規制)を批判し、個人の表現の自由は最大限に確保されるべきであると主張し、表現の自由の保障の強化を主張してきた。

この文脈に沿って考えると、憎悪表現が一定の人々にとっていかに耳障りで不愉快であったとしても、また、憎悪表現の蔓延が共生社会の実現という政策遂行に不適切なものであったとしても、「不愉快、不適切だから規制する」という結論を導き出すことは許されないことになる。

さらに言えば、人種・民族的な憎悪表現は、たんに「さまざまな表現のうちのひとつ」であるにとどまらず、日本国の重要な政治課題である内政・外政に関する意見表明という一面も有していると言いうる場合がある。政治的な論点に関する表現の自由はもっとも手厚く保障されるべきであるとする「自己統治」の価値に照らすと、憎悪表現の「発信の自由」も手厚く保障されるべきであるということになる。

一方、憎悪表現の規制を肯定する論者たちは、憎悪表現が従来の規制対象とされてきた反政府・反道徳的な表現とは異なるのだという点を強調する。こうした論者は、たとえば、憎悪表現が被害者に与える精神的な苦痛や日常生活への支障などを防止することの必要性を指摘したり、憎悪表現の蔓延が社会の偏見や差別構造を増長させることの問題点などを強調したりして、規制の正当化を試みる。』


 要するにこういう議論である。
 そして、憲法を学ぶと必ずやらされる「精神的自由の優位性」「投票箱の理論」「二重の基準」に関して、「面白い」現象が生じていることに気がつく。
 「移民反対!」「共産主義国家は必ず独裁国家を作る!」と叫ぶのは、何人たりとも犯すことの出来ない崇高な権利中の権利「THE権利」であって、いかなる権力も蔑ろにできないほどに侵すことが出来ない。しかし、これをごく僅か、ちょっと過激にして「在日朝鮮人を叩きだせ~!」「元祖テロ集団日本共産党は民主主義の敵だ!」と叫ぶと、一挙にエロ漫画以下の違法合法スレスレになる。更に「新大久保にガス室を作れ!」と叫ぶと完全にヘイトになり、「スパイ小畑を殺したのは宮本顕治だ!」「宮沢賢治は人殺しぃ~!!」と発言すると、週刊誌の広告が墨塗りになったり、国会がストップして予算委員会委員長のクビが飛ぶ(笑)。揺れ幅があまりに激しいのである。ヘイト規制理論を正しいとすれば、1mm動かしただけで崇高な市民的権利が犯罪に早変わりする。
 思うに、ヘイト規制とは、何の理由もなく「◯◯人を殺せ」という理論に対してのみ適用されるべきであろう。今問題になっているシリアにしろ韓国にしろ、無条件でシリア難民や韓国人が「ゴキブリ・ウジ虫・きっちゃない」なのかが重要である。そして、シリアに関しては、偽装難民が大量虐殺を犯した以上、法規制は無理ではないだろうか。在特会自体が衰退しているので、あまり議論する価値が無いかもしれないが、韓国人や古新聞とチリ紙を交換することや鶴橋大虐殺や焼身自殺の是非ではなく、やはりその「特権」を具体的に知りたいところだ。そうでなければ、左翼の法規制の手助けをする可能性もあろう。
 とにかく、規制論者に関しては、「これはOK」「これは駄目」を、せめてエロ漫画の石原慎太郎以上(ブルマの入浴やしずかちちゃんのパンチラは大丈夫、なんてのまで役人が作ってた筈)に、もっと具体的に行っていただけないと、とても信頼出来ない。
 そして、法規制しても、必ずそれに逆らう人が出てくる。

※画像は、単なる著作権侵害です。
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 西村雅史。元オウマー。大昔「オウム真理教大辞典」を共著で出して「これで幸せになる」と思ったらかえって不幸続き。糖尿病も悪化し、眼底出血で失明に怯えてます。

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