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竹村健一氏の時代:「論壇」が消えて、学者がタレントになった

 竹村健一さんが亡くなられたのだね。
評論家の竹村健一さん死去、89歳=番組司会などで活躍/時事通信
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019071100990

 保守論客として、画期的な人だった。
 今にして思えば、この人が「全ての流れを変えた」んじゃないか、それくらいの重要人物だ。

takemura_kenichi.jpg テレビのタレント文化人で、「軍隊は必要に決まってるし、改憲も当然必要だ」と主張し、売れっ子文化人として成功したのは彼が初めてだろう。

 ただ、今現在、保守派の論客で「渡部昇一は偉大だ」と語る人はいても、「竹村健一は偉大だ」と評価する人は聞かない。
 やはり「電波芸者」「タレント文化人」は軽く見られているのか。左翼で言えば、「筑紫哲也よりも本多勝一のほうが偉大」みたいなものか。



 もちろん、筑紫哲也からも本多勝一からも、そして当時の多くの左翼・共産党支持者に嫌われて嫌われて嫌われまくった。しかし、支持者も多かった。
 おそらく中曽根内閣の頃に人気に火がついたと思う。ゆえに、共産党支持は「中曽根から金をもらってる」と揶揄した。

 テレビだけではなく、著作もハイペースで出版した。まるで週刊誌を出すかのような勢いで出した。もちろん、売れているからだ。当然に本人が全部書いているはずもなく、スタッフが剽窃問題をやらかしてしまい、待ってましたと朝日新聞に攻撃されたことがある。しかし潰されることもなく、快進撃は続いた。

 おそらく、時代の境目だったのだろう。
 全共闘・珍棒団騒動が収束し、左翼・日本共産党の主張そこが日本の進歩を阻害していることに、多くの日本人が気がつき始めた。
 「軍隊は必要か」「国旗・国歌が必要か」なんて馬鹿げた議論はもはや終わった。そして、非武装中立も不可能で、それどころか社共共闘では永久に政権交代が起きない。共産主義も非武装中立(憲法9条)も間違っている。日本国民が徐々に見切りをつけ始めたのだ。

 社共ではなく、社・公・民でなければ永遠に政権交代はない。
 日米軍事同盟を維持し、西側陣営の一員として、現在の国会・選挙や表現の自由を堅持し、自由主義経済を基調として、ソ連を中心とした共産主義と対峙していく。その枠内で、自民党とは違う福祉社会の実現を目指す。そんな時代の始まりだった。



 昨日のNHKネタの続きみたいだけど、この頃から、左からのNHK批判ではなく、右からのNHK批判が出てくるようになったのではないか。「NHK民営化」論を聞くようになったのも、「竹村健一の時代」だった気がする。

 1984年、NHKが「核戦争後の地球」という番組を作った際に、文藝春秋で「荒唐無稽」と批判された。同時に、朝のNHK連続小説はどうして、毎回毎回、戦前の日本を暗く描き、戦中の極貧時代ばがり強調するのか… NHKの左偏向が問題視されるようになった。



TKY200811070368.jpg 竹村健一とともに、渡部昇一と堺屋太一が「三ピン」と揶揄された。一方、言われた方も負けずに「三ピン」を名乗り、テレビで活躍した。
 当然、左翼にしてみれば「右傾」ということになる。戦前の日本に逆戻り、ギャーである。
 しかし、不思議と「攻撃対象」は、竹村健一よりも渡部昇一だった。

 おそらく、渡部昇一の方が「活字の人」であり、左翼にとっても知的に見えたのだろう。しかし、影響力は竹村健一があった筈だ。
 この頃に、国民の政治意見(世論)形成の場が、「論壇」からテレビのワイドショーに移ってきたのだろう。

 左右の「論壇の大御所」の有り難い論文を、左右の「市民」が有り難く「勉強」する時代から、テレビや雑誌で様々な意見を聞きながら、自分で政治態度を決定する時代の始まりだったのだ。テレビや雑誌を読んでいる側の多くが大卒になり、それなりに高度な知識を持ち、日本や世界の現実の姿を知るようになる。

 それにつれて、「政治を語る学者」は、「高度な知識を持った学びの対象」から、「タレントもどき」と化していく。
 中曽根康弘氏がファシストか自由主義者か、9条を変えるべきか否か、別に学者の意見なんか聞かなくても、自分で判断するようになってきた。あの学者よりもビートたけしの言ってることのほうがどう考えても正しいよね。日本国民が自身を持って言うようになった。

 そして平成が終わり礼和になった今、テレビの権威もすっかり廃れてしまった。
 なのに、不思議なことに、未だに、竹村健一や筑紫哲也よりも、渡部昇一や本多勝一のほうが未だに評価が高い気がする。
 思うに、あの二人が「最後の論壇」だったのではないか。



 その後も、多くの学者がテレビに進出したが、いわゆる「カリスマ性」はない。文字通り「タレントの一種」であり、実際にタレントと一緒にテレビに出る。それどころか、テレビ局も「視聴率が取れる」タレントの方が価値ある人間と扱っている。タレント学者は芸能人の格下扱いなのだ。

 勢いニュース番組も芸能化していった。しかし、それで何とか左翼勢力は「ニュースステーション」というドル箱開発に成功したのだが。

 ではまた。
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コメント
10300:マクルーハンの世界 by 読者 on 2019/07/14 at 08:05:19 (コメント編集)

西村幸祐‏ @kohyu1952
https://twitter.com/kohyu1952/status/1150117442724585473

52年前に書かれた『マクルーハンの世界』を今も持っているのは全然古くないからだ。竹内書店から出たマクルーハン著作集を読む切っ掛けや校内誌の原稿にマクルーハンを引用する契機を作ってくれた。宮崎正弘さんの追悼文http://melma.com/backnumber_45206_6839468/ …が興味深い。いつかお会いできると思っていたので残念だ
____

西村さんのツイッターに、竹村さんの思い出がツイートされています。

そうそう、私も竹村さんの影響を受けて、マクルーハンの翻訳書を読んだことがありました。

「global village」という言葉はマクルーハンの言葉として印象深いです。

10291:Re: 「世相講談」「竹村健一の世相を斬る」 by sinzinrui on 2019/07/13 at 19:24:08

> 人気がありましたね

ですよねー。
まさに「時代の寵児」でした。
まさに「画期的」でした。

そうそう、英語、うまかったでした。
しかも、打たれ強い。

もっと評価されて然るべき人だと思います。

10290:「世相講談」「竹村健一の世相を斬る」 by 読者 on 2019/07/12 at 09:25:19 (コメント編集)

人気がありましたね

アシスタントとして現在の東京都知事小池百合子がアイドル的人気があったように思います。

羨ましかったのは、竹村さんの英会話能力。

非常に英会話が達者で海外の知識人とテレビやラジオで会話を楽しんでおられた。

イギリスの「ロンドンエコノミスト」の記事をよく紹介されていたのも懐かしい。

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 西村雅史。元オウマー。大昔「オウム真理教大辞典」を共著で出して「これで幸せになる」と思ったらかえって不幸続き。糖尿病も悪化し、眼底出血で失明に怯えてます。

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