「運命ガチャ」「人生ネタバレ」時代の努力真理教
健康・人生 - 2021年09月23日 (木)
ますますインチキが知れわたる破壊的カルト「努力真理教」。
科学的な視点を人々が持つと、「カルト」はナメクジに塩をかけたように消えていく。
昨日、こんなエッセイを読んだ。
いずれにせよ、努力真理教の崩壊は世間的に「トレンド」になってきてたようだ。そうでなきゃ、「親ガチャ」なんて流行語がブレイクする筈がない。
親ガチャ、反出生主義…若者たちは「人生のネタバレ」に絶望している ー現実はリセマラできないから/御田寺 圭(現代ビジネス2021.9,19)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/87455?imp=0
なお、「リセマラ」とはリセットマラソン。スマホゲームで、アンインストール・インストールを繰り返すことらしい。
『「親ガチャ」とは、「あなたの人生は、あなたの努力で動かせる部分はとても少ない」というエビデンスがひたすらに詰み上がってきた、現代社会のひとつの「結果」でしかない。これがにわかに流行ったからといって、なにか邪な考えが若者の間で蔓延しているとか、若者が努力をしなくなったとか、そういったことはない。』
確かに今の若者が努力しなくなったようには見えない。
ただ、先日ご紹介した「無理ゲー社会/橘玲著/小学館新書」によると、親ガチャ(親の教育)どころか、「遺伝子ガチャ」や「出会いガチャ」の方が影響が大きく、しかも「努力」するかしないかも遺伝や偶然の出会いに左右されるという。どうやらこの本はベストセラーらしい。
少なくとも、「努力量と幸福・目的達成・自己実現」には思ったほどに相関関係がない。「成功」と「努力」とに大した関連性がないことがバレてきたのは事実である。
そもそも、何故「努力真理教」が世界規模の真理として唱えられてきたのか。この日記では前にも何回か書いてきた(例えば「「努力すれば報われる社会」も所詮は近代がでっち上げた宗教に過ぎない」)。
努力真理教は「近代」「民主主義」「理想主義」と密接に関連している。
今のアフガニスタン国民の大半は「努力は必ず報われる」なんて思っておるまい。北朝鮮の国民は「努力すれば金王朝に入れる」なんて思わない。その点、日本やアメリカのような民主主義国家は、誰だって総理大臣になれるシステムを採用している。仮に総理大臣になれなくても、必死に勉強すれば上流階級上位10%くらいに入れる。
何も総理大臣を目指さなくても良い。自由で平等・差別が全く無い民主主義社会であっても「選別」が必要である以上、「なりたい職業の頂点」から「乞食・基地外」までを、努力の順に配置し収入を与えるのが正義と考えた。
しかし、実のところ人間の運命は自分の努力以外の外部環境に恐ろしいまでに左右され、しかも最近では「努力」も才能であることがバレてきた。そんな感じだろう。
だが、北朝鮮やアフガニスタンでは、努力は否定されているのだろうか。もちろんNO。イスラム国だって然り。
トップは組織の兵隊のみならず、国民にも「努力」を強制している。兵隊が日々努力しないとテロや内紛に勝てないし、大国相手に取引を仕掛けることも出来ない。そして一般国民にも努力をしてもらわないと、兵隊ばかり強くても産業がスカでは国なんか潰れてしまう。独裁国は独裁国なりに、国民に「努力は必ず報われる」社会を提供しないと、自国が衰退し他国に乗っ取られてしまう。
民主主義国家であっても、共産主義のような全体主義国家でも、指導者層は国民に努力を強いる。「努力は必ず報われる」と思い込ませたいのだ。努力真理教は権力者の要請(笑)。いや、マジで国家のTOPは国民に努力をさせ続ける必要がある。何故なら、それが国の浮沈を左右するからだ。
そういう意味では、民主主義とは国民に努力を引き出させやすいシステムと言える。何になりたいか自由に選ばせて、機会は平等、そこでのランキングは努力によって決める。そして国の方針を決める仕事も多数決で選ばれた人にやってもらう。更に「努力」=「お勉強」を至高の価値と崇め奉ることによって、国民の知的水準が向上し、その中の選ばれた人が様々な科学的真理を発見し、ますます日本が世界が裕福になっていく。
おそらく、「運命ガチャ」で人生に絶望した人は、「機会平等」をモットーに全ての国民にチャンスを与えることが、努力をすれば誰でも総理大臣や医者や弁護士や学者や新聞記者やテレビディレクターや社長や政治家や小説家や人気アイドルや…になれることに見えてしまったのだろう。
さすがにアイドルが「努力は必ず報われる」商売だとは誰も思わない。しかし、医者や弁護士やマスコミならば努力(必死に勉強)さえすればなれると思い込んでしまう。しかし、アイドルだって医者だって弁護士もマスコミも運と才能でなるもの。そもそも、上記職業は日本では人気抜群、本当は誰だってなりたいのだ。なりたいけどなれないから、みんな嫌々サラリーマンやってるだけ。
上記「無理ゲー社会」では、差別のない自由で平等な社会では「自分らしく生きる」ことだけど、それが実現しないことが生きづらさの原因であると考えているようだ。
そもそも、「自分らしく生きる」職業なんて限られている。努力真理教が崩壊した今、今度は「自分らしく生きる」「好きなことをして生きる」神話も崩壊させる必要があるのではないか。仕事は苦痛であり、他人に代わって嫌なことをすること。
”「好き」を仕事にするのが理想の生き方”なんて所詮は近代が生んだ歪んだ「まいんどこんちょろうる」。そんな連中をSNSで見つけたら、ガンガン誹謗中傷しようぜ!
科学的な視点を人々が持つと、「カルト」はナメクジに塩をかけたように消えていく。
昨日、こんなエッセイを読んだ。
「ネタバレ」してしまった「幸福な人」「不幸な人」の違い

親ガチャ、反出生主義…若者たちは「人生のネタバレ」に絶望している ー現実はリセマラできないから/御田寺 圭(現代ビジネス2021.9,19)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/87455?imp=0
なお、「リセマラ」とはリセットマラソン。スマホゲームで、アンインストール・インストールを繰り返すことらしい。
『「親ガチャ」とは、「あなたの人生は、あなたの努力で動かせる部分はとても少ない」というエビデンスがひたすらに詰み上がってきた、現代社会のひとつの「結果」でしかない。これがにわかに流行ったからといって、なにか邪な考えが若者の間で蔓延しているとか、若者が努力をしなくなったとか、そういったことはない。』
確かに今の若者が努力しなくなったようには見えない。
ただ、先日ご紹介した「無理ゲー社会/橘玲著/小学館新書」によると、親ガチャ(親の教育)どころか、「遺伝子ガチャ」や「出会いガチャ」の方が影響が大きく、しかも「努力」するかしないかも遺伝や偶然の出会いに左右されるという。どうやらこの本はベストセラーらしい。
少なくとも、「努力量と幸福・目的達成・自己実現」には思ったほどに相関関係がない。「成功」と「努力」とに大した関連性がないことがバレてきたのは事実である。
独裁国家も「努力は必ず報われる」神話
そもそも、何故「努力真理教」が世界規模の真理として唱えられてきたのか。この日記では前にも何回か書いてきた(例えば「「努力すれば報われる社会」も所詮は近代がでっち上げた宗教に過ぎない」)。

今のアフガニスタン国民の大半は「努力は必ず報われる」なんて思っておるまい。北朝鮮の国民は「努力すれば金王朝に入れる」なんて思わない。その点、日本やアメリカのような民主主義国家は、誰だって総理大臣になれるシステムを採用している。仮に総理大臣になれなくても、必死に勉強すれば上流階級上位10%くらいに入れる。
何も総理大臣を目指さなくても良い。自由で平等・差別が全く無い民主主義社会であっても「選別」が必要である以上、「なりたい職業の頂点」から「乞食・基地外」までを、努力の順に配置し収入を与えるのが正義と考えた。
しかし、実のところ人間の運命は自分の努力以外の外部環境に恐ろしいまでに左右され、しかも最近では「努力」も才能であることがバレてきた。そんな感じだろう。
だが、北朝鮮やアフガニスタンでは、努力は否定されているのだろうか。もちろんNO。イスラム国だって然り。
トップは組織の兵隊のみならず、国民にも「努力」を強制している。兵隊が日々努力しないとテロや内紛に勝てないし、大国相手に取引を仕掛けることも出来ない。そして一般国民にも努力をしてもらわないと、兵隊ばかり強くても産業がスカでは国なんか潰れてしまう。独裁国は独裁国なりに、国民に「努力は必ず報われる」社会を提供しないと、自国が衰退し他国に乗っ取られてしまう。
努力真理教は権力者の都合
民主主義国家であっても、共産主義のような全体主義国家でも、指導者層は国民に努力を強いる。「努力は必ず報われる」と思い込ませたいのだ。努力真理教は権力者の要請(笑)。いや、マジで国家のTOPは国民に努力をさせ続ける必要がある。何故なら、それが国の浮沈を左右するからだ。
そういう意味では、民主主義とは国民に努力を引き出させやすいシステムと言える。何になりたいか自由に選ばせて、機会は平等、そこでのランキングは努力によって決める。そして国の方針を決める仕事も多数決で選ばれた人にやってもらう。更に「努力」=「お勉強」を至高の価値と崇め奉ることによって、国民の知的水準が向上し、その中の選ばれた人が様々な科学的真理を発見し、ますます日本が世界が裕福になっていく。
アイドルも医者・弁護士も努力だけじゃなれないのは当たり前

さすがにアイドルが「努力は必ず報われる」商売だとは誰も思わない。しかし、医者や弁護士やマスコミならば努力(必死に勉強)さえすればなれると思い込んでしまう。しかし、アイドルだって医者だって弁護士もマスコミも運と才能でなるもの。そもそも、上記職業は日本では人気抜群、本当は誰だってなりたいのだ。なりたいけどなれないから、みんな嫌々サラリーマンやってるだけ。
さあ、今度は「自己実現真理教」を崩壊させよう
上記「無理ゲー社会」では、差別のない自由で平等な社会では「自分らしく生きる」ことだけど、それが実現しないことが生きづらさの原因であると考えているようだ。
そもそも、「自分らしく生きる」職業なんて限られている。努力真理教が崩壊した今、今度は「自分らしく生きる」「好きなことをして生きる」神話も崩壊させる必要があるのではないか。仕事は苦痛であり、他人に代わって嫌なことをすること。
”「好き」を仕事にするのが理想の生き方”なんて所詮は近代が生んだ歪んだ「まいんどこんちょろうる」。そんな連中をSNSで見つけたら、ガンガン誹謗中傷しようぜ!
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